配偶者の預貯金、どこまで把握していますか?
調査によると、配偶者の預貯金額を「正確に把握している」と答えた人はわずか21.7%にとどまっています。一方で、「ほとんど知らない」「全く知らない」を合わせると41.0%にも上るという結果でした。これは、およそ5人に2人の夫婦が、配偶者の預貯金額を十分に把握していない計算になります。
皆さんのご家庭ではいかがでしょうか?家計を共有していても、相手名義の預金残高まで細かく知っている方は少ないのかもしれませんね。

「見える資産」と「見えにくい資産」
さらに、資産の種類別に見てみると、その傾向はより顕著になります。
配偶者が利用している銀行をすべて把握している人は45.3%と半数未満。投資になるとその割合はさらに下がり、NISA・株式・投資信託の保有額を把握している人は28.3%、暗号資産に至っては14.3%でした。電子マネーやポイントの残高まで把握している人は、わずか11.7%です。これは、約9人に8人が、配偶者のデジタル資産の残高を把握していないことになります。
昔は紙の通帳を見れば、ある程度の資産状況は分かったものですが、ネット銀行やネット証券、NISA、暗号資産、電子マネーなど、現代では資産が多様化し、日常生活に深く入り込んでいます。紙の通帳だけでは見えにくい資産が増えている、ということでしょう。私も、自分の電子マネーの残高を家族に聞かれたら、すぐに答えられるか自信がありません。
なぜ自分の全資産を伝えていないのか?
「配偶者に自分の全資産額を伝えていない」と回答した人にその理由を尋ねたところ、最も多かったのは「聞かれないから」で52.2%でした。これは、「意図的に隠している」というよりは、夫婦間で全資産を確認する機会そのものが少ないことを示唆しているように感じます。
また、共働き世帯では「相手の預貯金をほとんど/全く知らない」という人が45.8%と、片働き世帯の32.6%よりも高い割合でした。共働きだと、それぞれが自分の稼いだお金を管理しやすく、結果として夫婦間の資産が見えにくくなる傾向があるのかもしれません。
「離婚」を意識して初めて始まる資産確認
今回の調査で特に注目すべきは、「離婚」という言葉が頭に浮かんだことで、初めて配偶者の資産状況を確認した人の実態です。
「離婚を具体的に考えた経験がある」と回答した人のうち、61.2%が「離婚を意識してから配偶者の資産が気になった」と答えています。そして、46.6%、つまり約2人に1人が、離婚を意識した後に初めて相手の資産について具体的な確認をしているとのことです。

さらに驚くべきことに、確認した結果、「そんな資産があるとは知らなかった」という経験をした人も少なくありません。「離婚を意識した後に配偶者の資産を確認した経験がある人」のうち、32.8%、およそ3人に1人が「それまで知らなかった口座・資産があった」と回答しています。これは、私たちが思っている以上に、夫婦間で見えない資産が多いことを示しているのではないでしょうか。
後から知った「見えない資産」の具体例
後から存在を知った資産の種類としては、預貯金・別の銀行口座が最も多く48.6%でした。次いで株式・投資信託が34.3%、NISA口座が28.6%、暗号資産が17.1%と続きます。やはり、銀行預金以外の金融商品が「見えにくい資産」となっているようです。
資産額についても認識のずれがあり、実際に確認した相手の資産額が「想像より多かった」人は29.3%、「想像より少なかった」人は26.4%でした。半数以上が想定とのギャップを感じているという結果は、多くの夫婦が資産に対して漠然とした認識しか持っていないことを物語っているのかもしれません。
離婚経験者からのメッセージ
現在の既婚者と離婚経験者を比較すると、「夫婦がお互いの金融資産を定期的に確認しておく必要がある」と答えた割合は、既婚者では57.8%だったのに対し、離婚経験者では72.1%と、その差は14.3ポイントもありました。離婚を経験した方々ほど、資産把握を「離婚時だけの問題」ではなく、夫婦生活中の情報として捉えている傾向が見られます。
これは、離婚という経験を通じて、資産把握の重要性を痛感したからこその意見だと感じます。私も、もしもの時に備えて、家族と資産について話し合うことの大切さを改めて考えさせられました。
夫婦のお金の「見える化」はどこまで進んでいる?
では、現在の夫婦はどの程度まで資産情報を共有しているのでしょうか。
夫婦の資産一覧を作成・共有している人は18.7%と、5組に1組未満にとどまります。一方で、住宅ローンなど主な負債を双方が把握している割合は73.3%でした。「毎月支払う必要がある負債」は見えやすいのに対し、「ネット上で保有している資産」は見えにくいという対照的な結果ですね。

銀行口座情報を共有している人は52.3%ですが、証券口座まで共有すると31.0%、暗号資産では13.0%、ポイント・電子マネー等では10.7%まで低下します。通帳と保険証券を一か所に保管すれば家族の財産を把握できた時代は終わり、現在はスマートフォンのアプリやオンラインサービスの中に資産が分散していることが、この背景にあると言えるでしょう。
全財産共有への抵抗と緊急時の必要性
資産情報を夫婦で共有することについて尋ねると、48.7%が何らかの抵抗を感じていると回答しました。また、「夫婦でも全財産を共有する必要はない」と考える人が48.3%いる一方で、「離婚とは関係なく、病気・事故など緊急時のために一定の資産情報は共有すべき」と考える人は76.0%に上ります。
これは、非常に興味深い結果です。常にすべての資産を公開し合うことに抵抗を感じつつも、いざという時のために、どこに何があるのかを知っておく必要性は強く感じているのですね。私も、このバランス感覚には共感できます。
最低限共有したい情報とは
「夫婦で資産情報を共有するとしたら、最低限どこまで共有したいか」という問いに対しては、銀行口座の金融機関名・概算残高が71.7%で最多でした。生命保険・医療保険等の契約情報が64.0%、住宅ローン・借入金等の負債が62.3%と続きます。
「ログインIDやパスワードまで共有する」のではなく、「どの金融機関に、どのような資産があるか」を共有するという考え方が、現実的な選択肢になっていることがうかがえます。これは、夫婦間の信頼関係を保ちつつ、もしもの時に備える賢い方法かもしれません。
まとめ
今回の調査からは、現代の夫婦において、特にデジタル化された資産の把握が難しいこと、そして離婚を意識して初めて資産確認を始めるケースが多いことが明らかになりました。しかし、これは単純に「夫婦が資産を隠している」という話ではないようです。「聞かれないから」という理由が最も多かったことから、夫婦間のコミュニケーション不足や、資産管理の習慣の変化が背景にあると考えられます。
「夫婦でも全財産を共有する必要はない」と感じつつも、「緊急時のために一定の資産情報は共有すべき」と考える人が多いという結果は、これからの夫婦関係における資産管理のあり方を考える上で、非常に重要な視点を提供してくれています。
通帳を見れば家族のお金が分かる時代から、「どこに何があるか」を意識的に共有しなければ分からない時代へ。夫婦のお金の「見える化」は、離婚時だけでなく、病気や事故、相続なども含め、デジタル化する家計をどう管理するかという日常的な課題になりつつあるのですね。
もし、個別の財産分与における資産の取り扱いについてご不明な点があれば、弁護士などの専門家へ確認することが大切です。
今回の調査が、皆さんのご家庭での資産管理について考えるきっかけになれば幸いです。賢作でした。


